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旧農林省蚕糸試験場新庄支場第五蚕室

以前は、桑の生産や管理など、主に桑の研究が行われる施設でした。また、桑の葉の生産・収穫などに使用する農機具等も置かれていました。現在は、地元の生産者が作った旬の新鮮な農産物や加工品を取り扱う産直として活用されています。

館内イメージ

これまでのあゆみ


竣工年

1937年(昭和12年)3月

当時の使われ方

桑の研究

建設当初は、第一蚕室、第四蚕室と同様に、ボイラーからの暖気を利用した温度管理のもと養蚕が行われ、春蚕(しゅんさん)、秋蚕(しゅうさん)の飼育に使用されていたようですが詳細は不明です。

▲ 桑畑

記録がある昭和後期、第5蚕室では、おもに原産種研究室が使用し、桑の生産と管理などの桑の研究を行いました。また、桑の葉の生産・収穫などに使用する農機具等も置かれました。

▲ 桑の植え付け

▲ 藁紐で枝を結んでいるとされる

試験場では蚕に与える桑の葉を場内で育て収穫し、蚕に与えます。桑の葉を蚕の幼虫に1日に2回与えるため、大量の桑の葉が必要となり、春から秋まで桑の生産と研究に追われていました。

▲ 桑畑での作業の様子

▲ 剪定作業の様子

また、新庄支場での桑研究の内容について詳細は定かではありませんが、写真の記録から「清水早生」「赤木」「剣持」など、多品種に渡り植えられていたようです。「剣持」は寒冷地用として耐寒性があり、葉が厚く葉質が良好な品種とされています。養蚕の発展とともに桑の研究も進められ、数々の新品種が生まれました。

▲ 多品種の桑の木

▲ 摘み取った桑を貯蔵

第5蚕室の⻄側にあった第6蚕室には、蚕を飼育するために必要な蚕座(さんざ)紙、パラフィン紙、蚕座、除沙(じょさ)の網などや、蚕種をとるための産卵台紙、蛾輪(がりん)、蛾箱などを置く倉庫になっていました。特に蚕種取りの材料は特殊なものが多いため、すぐには補充が効きません。そのため一定の在庫を持っておく必要があったためです。

▲ 摘桑爪