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旧農林省蚕糸試験場新庄支場 第二蚕室

現在は一般公開していない第二蚕室ですが、以前は暖気を使用しない、夏蚕用の蚕室として使われていました。また、蚕種研究室として、原産の人工飼料の研究と蚕種の保護法の研究が行われていました。

これまでのあゆみ


竣工年

1934年(昭和9年)12月

当時の使われ方

研究機関としての役割

第二蚕室では暖気を使用しない、夏蚕用の蚕室として使われていました。初夏に孵化して飼われる蚕。夏蚕(かさん)”なつご”と言われ、飼養日数が短く、繭の量・室とにも劣り、飼育も難しいためか、蚕室が春蚕に秋蚕に比べ狭くなっています。
また、清掃・消毒の効率化と地面からの害虫対策が施されているが、建築当時の昭和初期では、コンクリート打ちの建物は非常に珍しいものでした。

【人工飼料の開発】

国の研究機関として、開所当時から原蚕種の製造に関わる多くの研究がこの所では行われてきました。第二蚕室と第三蚕室は蚕種研究室として使用され、原産の人工飼料の研究と蚕種の保護法の研究が行われました。

▲ 人工飼料

昭和後期に全国の研究機関で人工飼料の開発が行われました。糸繭を生産する交雑種(普通蚕)のためのもので、研究開始当初は稚蚕期(1〜3齢)のみの稚蚕人工飼料育でしたが、研究が進むと全齢人工飼料育も可能になりました。この流れから昭和50年代に入ると、蚕糸試験場の研究目標に「原蚕の人工飼料育の確立」が加わり、新庄でもこのプロジェクトに参加。原蚕に与える人工飼料の改良研究や人工飼料で飼育した蚕から採卵した原蚕種の人工孵化の条件や越年卵保護方法等の研究を行いました。

▲ 人工飼料による蚕の飼育

第二蚕室では、交雑種(普通蚕)や稚蚕人工飼育を行った蚕の飼育、飼育試験、保存試験用の蚕種製造のための蚕の飼育を行なっていました。そのため、第三蚕室を人工飼料育の蚕室にし、人工飼料を製造するための部屋、クリ−ンルームの飼育室、上族室が作られました。当初は原蚕種に適した人工飼料の開発を主に行っていたため、桑葉粉末が必要となり、桑の葉の乾燥機や粉末にする機械等も整えられました。また、全齢人工飼料で飼育した原蚕種の蚕種の特性の解明を、全齢桑育あるいは稚蚕期(1〜3齢)のみ人工飼料育で、壮蚕期(4〜5齢)は桑育で得た蚕種との比較等の研究が行なわれていました。

▲ クリーンルーム(第三蚕室)

▲ 化学天秤

現在は建物としては残っていませんが、第三蚕室では、このように人工飼料の製造と飼育の研究が行われました。